「肌理の奥行」
通常、モノの面にはさまざまな肌理(きめ、テクスチャ、光の濃淡の分布)が与えられている。木目や布の生地、プラスティック、鉄板などそれぞれ特有の肌理をもっている。ところで心理学者のJ.J.ギブソンは、肌理を構成する要素の密度が徐々に変化したとき、その面は傾斜(奥行き)面として見え、細かい肌理の部分ほど遠くに知覚されると考えた。面の構成要素の密度の変化を勾配(gradient)と呼び、勾配が急激な面ほど大きく傾斜して知覚されるとした。そこで今回の店舗を設計するにあたり、白を基調として空間を構成したいというクライアントの要望をベースに、同じ白でも様々な素材の白を織り交ぜ、空間に「肌理の勾配」を持たせ奥行きをつくった。その奥行きから、この店内に設置される様々な商品の見え方にグラデーションが与えられる。
Architect : Hirai Ryosuke Nagata Yuichiro
Client : LASENSE Co., Ltd.
Built : September,2021
Location : Kyoto
Web : https://permanente.world/
Photographer : Yasugi Kazuoki