「共通項の融点」

　日常使いする空間は否が応でも雑多なモノが増えていき、次第に統一性が失われていくものである。そのため、生活をする空間を設計する時は極力ルールを作りながらも色やテクスチャは限定させていく方が良い。
　ところで、コンクリートを打設する際コンパネと呼ばれるコンクリートの型枠パネルを用いるが、普及しはじめたのは1970年あたりからで、それまでは杉板を用いていた。この建物はまだコンクリートの型枠に杉板を用いていた頃に建てられたものであったため、コンクリートに特徴があった。
　そこで、何もないフラットな色・テクスチャ＝白として、杉板型枠コンクリート〜白へ、白を基調とした木目フローリングを用いてグラデーションを生み出した。また、主空間と従空間で木目の濃淡も変化させることで、全ての空間が緩く飽きのこない繋がりをもつ。