「伝統技術の再読」
西陣織は京都で有名な伝統産業の一つである。もともと京都は技術を持った材料屋たちと、その材料を使ったモノを販売する店とが二分化している。仏具を販売する店が漆屋へ発注をかけるといった要領で、着物店が西陣の織物屋へ発注をかけていた。かつて宮内庁にも西陣織を使用した十二単を奉納していた。しかし、着物(和服)から洋服への需要の変化、またその技術者の高齢化などにより、着物店が減り、必然的に織物屋が存続の危機に晒されている。京都の材料屋たちは表立って営業をかける行為は暗黙の了解で禁じられており、良くも悪くも伝統を守る小さな世界の中でその灯火は消えかかかろうとしている。
そこで、西陣織という技術を継承しながら永続的な事業計画として高級層向けのプライベートサロンを計画する。材料屋⇔販売店の構図を崩すことなく着物屋からサロンへの転換を図り、織物屋⇔サロンのモデルを構築する。壁紙クロスや天板材、床材まで空間の仕上げ材として西陣織を転用させることで新たな価値付として西陣の地のサロンが生まれる。
Architect : Hirai Ryosuke
Built : Uubuilt
Location : Kyoto